ナイトオンザプラネット〜アートフィルムの鬼才ジムジャームッシュ

好きな映画は?と聞かれた時、まずあがってくる映画がこの「ナイトオンザプラネット」です。

この映画はジムジャームッシュ監督作品で1992公開の映画です。

映画といえば長尺のイメージがありますが、この「ナイトオンザプラネット」は5つの短いストーリーがオムニバスとして1本の映画としてまとめられており、人間味やユーモアなどに満ちたジムジャームッシュ監督のセンスを感じる作品でした。

ニューヨークやロサンゼルス、パリ、ローマ、ヘルシンキなどの5つの場所で同じ時間に走るタクシーのなかのやりとりの物語です。

特に印象的なのがウィノナライダーが演じたタクシー運転手とお客とのやりとりのお話です。

ウィノナライダーは「シザーハンズ」などさまざまな作品に出ている女優さんですが、この「ナイトオンザプラネット」の映画のなかでは、タクシーでニューヨークの街を走る少し生意気な感じのウィノナライダーの演技がとてもはまっていて、かっこいい女優さんだなぁ、、と刺激を受けました。

ハリウッド映画のような壮大なスペクタルや派手なアクション、ドラマチックな展開などはありませんが、ジムジャームッシュ監督は人間が醸し出す哀愁や味わい、奥深さを演出するのがとてもうまい人だと思います。

地球上で同じ時刻に展開される出来事をつむいだ点で、なんとなく谷川俊太郎の「朝のリレー」の詩を思い出します。

「朝のリレー」

 カムチャッカの若者が
 きりんの夢を見ているとき
 メキシコの娘は
 朝もやの中でバスを待っている
 ニューヨークの少女が
 ほほえみながら寝がえりをうつとき
 ローマの少年は
 柱頭を染める朝陽にウインクする
 この地球で
 いつもどこかで朝がはじまっている

 ぼくらは朝をリレーするのだ
 経度から経度へと
 そうしていわば交換で地球を守る
 眠る前のひととき耳をすますと
 どこか遠くで目覚時計のベルが鳴ってる
 それはあなたの送った朝を
 誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ

(谷川俊太郎「谷川俊太郎詩集 続」思潮社 より)

「朝のリレー」の詩の場合には地球上のそれぞれの場所でのそれぞれの人の描写がされており、「ナイトオンザプラネット」の映画も「朝のリレー」の詩も、『地球』というひとつの星でいろいろなドラマが起きていることの大きな視点を感じられる作品です。

ジムジャームッシュ監督はこの「ナイトオンザプラネット」以外の作品で永瀬正敏を起用した「ミステリートレイン」という映画も撮っています。

独特な味わいのあるジムジャームッシュ作品。「ナイトオンザプラネット」をまだご覧になっていない方はぜひ一度見てみてください。

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